基本的な考え方
経営基盤の強化
当社は、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等ステークホルダーの立場をふまえた上で、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うことで、経営環境への変化に対応し、継続的な企業価値の向上を目指していくことをコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方としております。この考え方に基づき、経営意思決定の迅速化並びに経営責任及び業務執行責任の明確化を図るとともに、独立性の高い社外役員を置く取締役会及び監査役会のもと、経営の監督機能、コンプライアンス、リスクマネジメント、内部統制システムの強化を進めています。
コーポレート・ガバナンス報告書
コーポレート・ガバナンス体制
当社の企業統治の体制
- 当社の取締役会は、事業に精通した取締役3名と独立性が高い社外取締役7名で構成され、経営計画に関する事項をはじめ業務執行に関する重要な事項について審議、決定しています。また、年1回、取締役会の実効性に関する質問票を全ての取締役に配布し、その回答をふまえて実効性に関する分析と評価を実施しています。
- 監査等委員会設置会社の体制をとり、社外2名を含む3名で監査等委員会を構成しています。監査等委員は取締役の職務執行の適法性を監査しています。
- 取締役の指名や報酬に関する意思決定に独立社外取締役が適切に関与する体制を構築し、その意思決定手続きの客観性と透明性を高め、コーポレート・ガバナンスの一層の充実を図ることを目的とし、取締役会の諮問機関として「指名報酬諮問委員会」を設置しております。主な役割は、取締役の選任及び解任、代表取締役並びに役付取締役の選定及び解職、取締役の報酬に関する取締役会の諮問に対し答申を行うことです。
取締役会
取締役会は、取締役10名で構成されており、コーポレート・ガバナンスを強化する観点から7名を社外取締役としています(2025年6月20日現在)。取締役会は、原則月1回の開催に加えて、緊急な意思決定が必要な場合に随時開催しており、経営計画に関する事項をはじめとする会社の業務執行に関する重要な意思決定を行うとともに、業務執行全般を監督する責務を担っています。
なお、当社の取締役は12名以内とする旨を定款で定めております。また、事業年度ごとの経営責任の明確化をはかるため、取締役の任期を1年としております。
監査等委員会
当社は監査等委員会設置会社の体制をとっています。監査等委員は、取締役の職務執行の適法性を監査しています。原則月1回の開催に加えて、必要に応じて随時監査等委員会を開催しています。当社は、常勤の社外1名及び非常勤の社外2名の監査等委員をおいております(2025年6月20日現在)。
経営会議
経営会議は、社内取締役、常勤取締役及び各部門長から構成されており、主に当社の経営方針・経営戦略や、予算進捗等の事業遂行状況について報告・審議を行っています。重要な案件については経営会議で予め十分に審議した上で取締役会に付議することで、意思決定プロセスにおける審議の充実と適正性を確保しています。
任意の委員会(2025年6月20日現在)
指名報酬諮問委員会
取締役会の諮問機関として「指名報酬諮問委員会」を設置しております。委員会の主な役割は、取締役の選任及び解任、代表取締役並びに役付取締役の選定及び解職、取締役の報酬に関する取締役会の諮問に対し答申を行うことです。社外取締役4名及び社内取締役1名で構成され、委員長は互選により社外取締役が、事務局は経営企画部管掌役員がそれぞれ務めております(2025年6月20日現在)。
当事業年度は10回開催し、経営体制等について多様性を踏まえた提言を取締役会に行った他、取締役会の決議に基づき、取締役の個別報酬額(金銭報酬の額及び株式報酬)の決定を行いました。
主な審議事項
・取締役個人別の月額金銭報酬
・多様性とスキルマトリックスを踏まえた取締役会の検証
・次期取締役会(取締役・監査役・補欠監査役)候補者の選定(新たな取締役候補者の選定を含む)
・監査等委員会設置会社への移行の検討
・役員報酬制度見直しの検討(特に非財務指標に関するインセンティブプランの追加等)
サステナビリティ委員会
当社はサステナビリティ基本方針を経営の中核に位置づけており、環境変化に敏感に対応し、公正な企業活動を進めることで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
サステナビリティ経営を通じた中長期的な「企業価値の向上」を実現するため、ESG・持続可能性に関する会社のガバナンス、リスク管理、戦略、指標と目標を取りまとめ、活動計画を策定しその進捗管理と評価を行う機関として2022年6月にESG委員会を設置し、2023年8月には従来のリスク・マネジメント委員会と統合してサステナビリティ委員会として再編成し、運営しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長(委員長)、リスク・マネジメント担当役員、各部門長及び常勤取締役・内部監査室(随時指導・助言等)の計9名で構成されます(2025年6月20日現在)。
当事業年度は4回開催し、主に気候変動・人的資本という非財務情報をテーマとしてサステナビリティ経営の活動計画立案とその実践に取り組むと同時に、環境にやさしいシアンフリー製品の研究開発、亜鉛デンドライト抑制剤の開発、多様な働き方を実現する制度の拡充、能動型自律人材の育成に向けた教育体系の整備、キャリア採用の強化、情報セキュリティ対策、顧客エンゲージメントを高めるCRMシステムの開発、公開ウェブサイトの刷新、日英同時情報開示、等を主要なテーマとして取り組みました。
取締役会
取締役会全体のスキル等のバランス、取締役の選任に関する方針
当社は、以前より取締役会の機能発揮のため、当社が必要と考える知識・経験・能力に加え、就任年数に関する適切な組み合わせをできるだけ確保すべく、取締役候補者を選び、株主総会で株主の承認を得るようにしております。選任にあたり、当社の中長期的な経営の方向性等に照らして必要となる、取締役会が備えるべきスキル等を特定し、当社役員の有するスキル等の組み合わせについて、スキル・マトリックスを利用することにより、株主総会の招集通知において開示を行っております。
取締役会の活動状況(第54期:2024年4月1日~2025年3月31日)
取締役会検討内容
当事業年度は東京証券取引所からの要請やコーポレート・ガバナンスコードに従い、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」について集中して議論いたしました。特に、事業拡大に向けた成長戦略、その原資となる政策保有株式の縮減、株主還元の拡充に関しては、外部の専門家の意見を取り入れて活発に議論を重ね、中期経営計画と併せ開示をしております。また、長期的な視野に立ち、サステナビリティ経営に向けた取り組み、人的資本経営の推進についても議論を行いました。
決議・承認事項 |
・四半期毎の決算承認、年間・半期予算の承認、剰余金の処分・中間配当、業績予想の修正
・機関設計の変更(監査等委員会設置会社への移行)
・取締役及び監査役の選任の株主総会への付議、定時株主総会の招集通知の承認、代表取締役・役付取締役の選定、取締役の管掌、指名報酬諮問委員の選定、取締役個人別の月額金銭報酬の決定
・中期経営計画フェーズ2の策定、特定投資株式の保有に関する縮減方針、保有有価証券の売却
・株主提案等への対応、等
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報告事項 |
・月次・四半期・年間決算報告、コーポレート・ガバナンス報告書の確認、財務報告に係る内部統制システムの評価結果、サステナビリティ委員会の活動報告、CDP気候変動質問書の回答、取締役会の実効性評価、SR活動の状況、等
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取締役会の実効性評価
年1回、取締役会は、各取締役・各監査役の自己評価なども踏まえ、取締役会の実効性について、分析・評価を行いました。2025年3月期の取締役会の実効性評価の方法及び結果の概要は次のとおりです。
取締役会の実効性に関するアンケート形式の質問票を全ての取締役、監査役に配付し、その回答をふまえて実効性に関する分析を実施しました。アンケートは5段階の評価とコメントによる定性的な評価を組み合わせた形式です。
アンケート項目については取締役会の役割・機能や運営、中長期的な経営課題等11項目にわたり実施しました。項目の詳細については2025年6月20日提出予定の当社のコーポレート・ガバナンスに関する報告書をご参照ください。
https://www.netjpc.com/
アンケートの結果、CX向上会議を通じて議論の質と量は十分に確保できているとの評価となりました。また、中期経営計画フェーズ2をリリースした上では実行の評価を続けていくべきとの意見がありました。
取締役会の規模・構成や取締役会の運営は適切であるという評価となりました。また、投資家・株主との関係については適切な対応を行っているものの、情報発信については改善の余地が見られました。さらに、企業価値向上への施策や中長期的な経営課題については更なる議論が必要であり、今後そのウェートを高めていく予定です。
役員
スキルマトリックス

トレーニング
当社は、社外取締役を当社に迎えるに際し、社内見学を始め、当社が属する業界、当社の歴史、事業概要・財務情報等について必要な情報習得のための研修を行っています。取締役は期待される役割・責任を全うする上で、必要な知識・情報を取得するために、自ら外部セミナー、外部団体又は他社との交流会に参加し、研鑚を積んでいます。その費用につきましては、取締役の請求等により、社内規程に基づき、当社が負担しています。
リスクマネジメント
当社は、取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合していることを確保し、事業に関する短・長期のリスクを網羅的に把握し万全な対策を講じ着実にリスクマネジメントを果たしていくために、以下の体制を整えています。
- 取締役1名を「リスク・マネジメント担当取締役」として取締役会で選定します。
- 取締役、使用人及びコンプライアンス・オフィサー等で構成する「サステナビリティ委員会」を設け、リスク管理体制の整備・充実を図っています。
- サステナビリティ委員会では、サステナビリティ経営を通じた中長期的な企業価値の向上を目指して重要課題を審議します。E(環境)、S(社会)、G(企業統治)及びX(特命事項)の各分科会に管理責任者を決定し、「サステナビリティ基本方針」に基づき、ESG・持続可能性に関する会社のガバナンス、リスク管理、戦略、指標と目標を取りまとめ、活動計画を策定しその進捗管理と評価を行います。
- サステナビリティ委員会によるリスクアセスメントの評価結果を元に決定される個々の重要リスク項目ごとに実行管理責任者を決定し、「リスク管理方針」(「危機管理方針」を含む)にもとづき、対応方針を決定し、実行しています。
- また、サステナビリティ委員会は地政学リスクを想定した原材料調達、販売、物流に関するBCP(事業継続計画)を、時機に応じて再構築しています。
コンプライアンスの徹底
当社は、コンプライアンス(法令遵守を含む)の体制及び経営に対する監督機能の維持・強化は企業価値を支える基盤であり長期的で持続可能な成長を実現するために必要不可欠だと考え、以下の体制を整えています。
- 「企業行動規範」を制定し、取締役・使用人に法令遵守及び行動規範を周知徹底するために「コンプライアンス・オフィサー」を取締役会で選任し、コンプライアンス・オフィサーは、倫理・法令遵守の状況について取締役会に報告する。
- 経営企画部長及び顧問弁護士を通報窓口とする内部通報体制の整備を図り運営する。
- 執行部門から独立した社長直轄の「内部監査室」を設け、定期的に実施する内部監査を通じ職務の執行状況を把握し、法令・定款等に準拠し、適正、妥当かつ合理的に行われているか検証する。その監査結果を取締役会、監査等委員会に報告し、必要に応じ会計監査人にも報告を行う。
- 当社は個人情報の保護に関する法律における個人情報取り扱い事業者として、個人情報保護の必要性及び重要性を認識し、個人情報保護の徹底を行うことを社会的責務であると考えています。当社は個人情報を含む情報資産の適正な取り扱いの確保を目的として、プライバシーポリシーを定め、組織的安全管理措置、人的安全管理措置、物理的安全管理措置、技術的安全管理措置、及び外的環境の把握という観点で個人情報保護を徹底しています。
中期経営計画における取り組み
当社はガバナンスに関する主な目標と具体的な取り組みテーマとして下記を掲げています。
- 経営のモニタリング強化
社外役員・執行部門が一体となりコーポレート・ガバナンスを推進します。
- ステークホルダーへの情報発信とコミュニケーション強化
リサーチ会社を通して投資家向けに当社のビジネスモデルや業績推移、事業戦略等の情報を提供します。併せて、機関投資家向けのIR活動を充実させます。
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